国内外の森林問題と住まい
今度は建物の方を見てみましょう。平成15 年の住宅新設着工戸数うち木造は45%です。戸建住宅についていえば、木造率は84%にもなります。
出所)国土交通省「平成15年住宅新設着工統計」
(財)日本住宅・木材技術センターHP http://www.howtec.or.jp/kokomademokuzai/environment/1.htmlより
木造住宅を建設する時の消費エネルギーやCO2排出量は鉄骨造や鉄筋コンクリート造住宅を建設する時と比べると少ないという調査の結果が有ります。その要因のひとつには主材料である木材の製造エネルギーがその他の主材料の製造エネルギーよりも少ない事が挙げられます。
ここだけを見て材料を比較すると、木材は環境負荷の少ない優れた材料であると考えることができます。
一方、世界でも有数の森林率66%を誇る日本ですが、日本の木材の自給率は約20%しかないという現実もあります。
出所)林野庁企画課「平成17年木材需給表」
国土交通省中部整備局HP http://www.cbr.mlit.go.jp/hachisu/hachusu/vol30/tokushu.htmlより
それは裏を返すと、国内で生産される木材を上手く利用出来ずに、海外の様々な地域から輸入される木材に多くを頼っていということになります。それは、海外からの輸送に大きなエネルギーを使った木材を多く使い、場合によっては世界規模での森林減少・そして砂漠化の原因のひとつになっている、違法伐採木材の需要に知らず知らずのうちに加担している可能性もあるということです。
また、日本で生産される木材の多くが戦後の木材需要の為に作られた人工林です。この人工林は天然林と違い、人が手入れをする事で初めて、良い木材となる木が育ち、水源の涵養や土砂崩れなどの災害の防止等の公益的機能が保たれるのです。しかし、国産の木材が使われず、山には人工林の手入れするお金が無いと、公的機能が保たれないばかりでなく大雨や大雪、強風などに弱く、災害を引き起こす荒れた山になっていきます。
その他にも様々な環境問題がありますが、それらの多くは私たちの住まいや暮らし方と実はどこかで結び付いています。でも、それらの結び付きが見え辛いのも事実で、その見え辛さがとても大きな問題でもあります。更にその結び付き方はとても複雑でまだまだ分からないことも沢山あります。
それでは私たちはどうしたら良いのでしょうか。