何と言ってもこれが最大の決定要因です。希望する生活圏が都心(都会)なのか、郊外(田舎)なのかによって状況が異なります。住まいの選択肢として、土地が少なく高価な都心ではマンション(集合住宅)、郊外では土地付き一戸建てというウェイトが必然的に高くなります。まずは自分の拠点となる生活圏の状況を認識することが大切です。
マンション(集合住宅)
以下は主に一戸建て住宅についての内容ですので、少しマンションについて触れておきます。マンションは購入する(または借りる)というイメージが強いものです。一部、コーポラティブハウスといって、始めに住まい手達が集まって組合を結成し、建築家などのコーディネートのもとに、土地の取得や建物の設計、工事などの事業を行い、集合住宅を創り上げていくものもありますが、大多数は出来上がったものを購入します。マンションを購入しようと思ったときの情報源は、各ディベロッパーの折込みチラシやモデルルーム、中古や賃貸の場合は不動産屋という感じになるでしょう。
集合住宅は字の如く集合して住む訳ですから、集合によるメリットとデメリットがあります。設備や間取りを集約化し、共有することによる様々な合理性は最大のメリットです。個人では持ち難い防犯設備や視聴設備、エレベーターや自家発電設備、生ごみ処理設備、高層からの眺望や広い公園など。一方で集合しているが故に、戸建住宅に比べて様々な法規制やルールが厳しく、多くの防災・避難設備の設置や隣戸間の遮音性、管理組合とのやり取りなど、住み始めてから個人で勝手に変えられない部分も多いです。
フリープランやデザイナーズマンションなど、マンションでも自由度が高いのではと思われる商品もありますが、集合住宅は集合しているが故にメリットがありますので、フリープランといっても構造や窓の位置、設備配管などは変えずに、内装や建具などの限られた部分が、幾つかの選択肢の中から選べるといった程度のものです。デザイナーズマンションは、住まい手の要望をデザインしてくれる訳ではなく、デザイナーがこれがいい、とデザインしたマンションです。
マンションは、耐震偽装事件の例もあるように、一住まい手個人では、建物が巨大かつ専門的過ぎて全てを把握できないという点(作り手側も多数の専門家が各々の部分で関わっているため同じですが)もデメリットかもしれません。マンションの引渡の際に、設備機器の使い方、微々たるクロスの傷や、1㎜程度の床の傾斜、建具開閉のなめらかさ、などばかりに目がいきがちですが、ここで一生暮らすという大きな視点から、構造躯体の詳細や設備配管・配線の経路、内装のつくりの仕組み、上手な暮らし方、10年・20年後の手入れの仕方などを、窓口の担当者に聞いてみるのが良いと思います。