水平構面は建物の一体性を高める役目があると述べましたが、どういうことかというと、図1に示すような建物があり、同仕様の耐力壁が配置されているとします。まず、これを壁量計算に当てはめたとき、この建物が、地震や強風に耐えるために必要な耐力壁の量が決められます。この決められる耐力壁の量は、X方向、Y方向からそれぞれ、地震や強風により建物が力を受けた場合に耐えるための量を示します。そして、ここが重要ですが、この耐力壁がそれぞれ等分で負担したときの量になります。そのためには、水平構面が剛(変形しない、壊れない)である必要があります。この場合は、耐力壁がバランスよく設置してあるため、水平構面の強度の影響は少ないと思いますが、図2に示すように、耐力壁が偏って配置されている場合、これらの耐力壁に等分で負担させるためには、水平構面が剛で必要があると言えます。もし、水平構面が柔らかいと図3のように、建物が地震や強風により、力を受けた場合には、弱い方ばかりが変形、破壊されます。つまり、耐力壁が等分で力を負担できない→等分で力を負担させるように設計している→耐力壁が設計通りの力を発揮できない→建物が損傷したり倒壊に至ると言えます。これはあくまでわかりやすく説明する概念図ですが、水平構面の重要性が見えてくると思います。つまり、水平構面は、耐力壁に均等に力を流す、水平構面がしっかりしていることにより、建物の耐力壁全部に力を按分してくれる役目があります。よって、壁が著しく偏っている場合は、特に重要になってきます。また、基本的に建物は耐力壁によって地震や強風による力に耐えさせる構造であるため、耐力壁より水平構面が弱く、水平構面が耐力壁より大きく変形したり、先に壊れてしまうようなことがあってはなりません。こういったところから、耐力壁も非常に重要であるが、水平構面も、その非常に重要な耐力壁を働かせるために非常に重要であることがわかります。