前述のように、水平構面には非常に重要な役割があり、ここでは、「その役割を果たす」→「仕様の選択」について考えたいと思います。
まず最初に挙げられるのが、火打ちになると思います。前述のように耐力壁がバランスよく設置されている場合、水平構面に大きな負担がかかりませんので火打ちで問題ないかもわかりません。しかし、建築基準法で定められているバランスのよい配置をしている建物とそうでない建物との線引きは非常に難しい、また、住宅には無数のパターンがあるので、水平構面は非常に重要であるので、側端充足率計算等によりバランスよく耐力壁が配置されている場合も水平構面の検討を行いたいところです。
次に水平構面の仕様ですが、主に表1に示すような仕様があります。この表は、「住宅品質確保の促進等に関する法律(いわゆる品確法)」の構造の安定に関する基準における床の仕様(床倍率)の一覧です。品確法は、より高い安全性を確保するために、建築基準法を基本として更に詳細なチェックを設定しており、その中に床の仕様チェックが含まれています。そのチェックの中に、床の仕様、強度を耐力壁と同じように、壁倍率と同じように床倍率と言う考え方を取り入れています。
表1を見ると、主に床の仕様と屋根の仕様、そして火打ちの仕様に分かれています。床の仕様では、構造用合板と杉板、根太の有無(および、根太の仕様(落とし込み、半欠き、転ばし)について分かれています。また、屋根では、勾配別、構造用合板と杉板に分かれています。火打ちの仕様については、鋼製火打ちと木製火打ち、平均負担面積で分かれています。
ここで平均負担面積とは、例えば「平均負担面積2.5㎡以下」は、2.5㎡×4ヶ(火打ちの数)=10㎡(=約6畳)、つまり、6畳で区画された部分に4つの火打ちを入れることを意味します。このように、水平構面の仕様を細かく区分しています。
ここで、火打ちの仕様とその他の仕様を比べてみると、火打ち仕様の方が値の低いことがわかります(壁倍率と同様、基本的に倍率が高い方が強度があることを意味する)。裏を返すと、先ほど述べたように、水平構面に負担のかからない建物だと火打ちでOK、負担がかかる建物では、もっと強度のある仕様の選択の必要があることが伺えます。