次に、水平構面の仕様の選択にあたり、必要な水平構面の強度の算定方法ですが、詳しくは、「品確法の床倍率のチェック」を参照して頂きたいですが、以下の条件により決定されます。
①建物の地震、強風時に必要な耐力壁の量
②耐力壁線間距離(耐力壁線とは、外壁線と内部壁線(建物内で、ひとつの通りに一定以上の耐力壁があるもの)のとなり合う距離をいう)
③対象水平構面の上における上階の耐力壁線の有無
主にこれらの条件により、必要な水平構面の強度が決定されます。また、その他、耐力壁線間の距離が8m以下(靭性のある壁(筋かいを用いない壁)だけでつくられた住宅の耐力壁線間の距離は12m以下)や、仕様の異なる水平構面の場合の評価方法というような基準もあります。
逆に、これらの条件から水平構面に負担をかけない建物とは、
・屋根や壁の軽い建物(これは、あまり選択のしようがありませんが・・・)
・外壁に耐力壁がしっかりあり、内部においても、バラバラに壁があるのではなく、通りに沿って壁があるもの建物
・上記にもからみますが、耐力壁が外壁だけでなく、内部にもしっかりとある建物=耐力壁線間距離が縮まる
・上階と下階の耐力壁がそろっている
などが言えると思います。
また、水平構面について設計、施工で気をつけないといけない点としては、
・下屋が有る場合の下屋と本体とのとりつき
・吹き抜け
・スキップフロア
・セットバック、オーバーハング
・同一水平構面において床の仕様が異なる場合
・水平構面自身ではないが、水平構面端部の接合強度(前述のように、耐力壁より大きな変形、耐力壁より先に先行破壊しないことが大前提=壊れない水平構面)
・耐力壁と同様に、釘の種類、ピッチや、面材の種類等 仕様に沿った設計、施工
が言えると思います。上記、それぞれ検討が必要になるかもわかりませんが、気をつける点と言えます。
このように、水平構面を考えた場合、構造計算をする場合、問題はありませんが、壁量計算(仕様規定)の場合、壁の量は、建物の仕様、規模によって決まってきます。しかし、水平構面の場合、それだけではなく耐力壁の配置等により、必要な水平構面の強度、仕様が決まります。その上、建物はひとつひとつが、プランも違えば、使う耐力壁の種類も量も違うなどなどとパターンが無数にあり、ぞれぞれによって異なる結果が出る可能性があるため、最初に述べたように微妙な違いが生まれると言えます。つまり、小規模の2階建て住宅すべてについて、壁量計算が成立するか否かは、もちろん特殊な建物ではNOです。しかし、ある程度の条件を分類化している壁量計算(耐力壁の量)に比べて、水平構面では、その条件が建物個々によって大きく異なるため、構造上の安全性へのぶれが大きい、また、設計者や施工者判断となる部分が大きいと考えられそういった表現となったわけです。そういった点で、水平構面の検討は、壁量計算(仕様規定)で設計、施工を行う場合は注意が必要と言えます。