「天然乾燥」:屋外や屋根付倉庫に製材(荒挽き)した材を風通しを考慮して桟積みし、2~3ヶ月(場合によっては半年程度)程度の時間をかけて乾燥をさせていく方法。
(天然乾燥の場合、木材の含水率は乾燥場所の環境(平衡状態)に近づいていきます。)
天然乾燥のメリットは
(1)乾燥コストがかからない。(置き場所があれば)
(2)色焼けをしない。(色目がきれい)
(3)内部割れを生じない。
(4)乾燥時にエネルギーを消費しない。
デメリットは
(1)乾燥に時間がかかる。(スケジュールが読みにくい)
(2)時間をかけてもその時の気乾含水率以下には下げれない。
(3)乾燥中にカビや腐朽菌の被害を受けることがある。
「人工乾燥」:木材を乾燥庫に入れ、加熱したり除湿したりして、木材を短時間で強制的に乾燥させる方法。人工乾燥には様々な乾燥方法があり、それぞれの方法によってメリット・デメリットが指摘されています。
一般的な人工乾燥のメリットは
(1)短時間で乾燥できる。(製品管理が容易)
(2)品質管理が比較的容易。
デメリットは
(1)乾燥時にエネルギーを消費する。
(2)過乾燥になると内部割れが生じやすい。
(3)色焼けをしやすい。
(4)設備コストがかかる。
人工乾燥の種類
最近では短期間人工乾燥させた後、天然乾燥をさせる(あるいはその逆)ハイブリッド乾燥や、太陽熱を利用した人工乾燥など、様々な新しい乾燥方法が試行されています。そのうち太陽熱を利用した木材乾燥庫の例を紹介します。
□岐阜県美濃市 森林文化アカデミー 木材乾燥庫 「活木処(かっき)」
岐阜県美濃市にある岐阜県立森林文化アカデミー敷地内にあるこの乾燥庫は、アカデミーの研究室のひとつである木造建築スタジオの学生達のセルフビルドによって建設された乾燥庫です。
この乾燥庫での木材の乾燥の為に使われるエネルギーは太陽熱。OMソーラーシステムの技術を利用しています。南側屋根面にある集熱パネルで暖められた乾燥空気を室内に吹き込むことによって、木材を乾燥させています。
容量はおよそ30立米。6mまでの長さに対応しています。
この太陽熱乾燥庫<活木処>の一番のメリットは、天然乾燥よりも含水率を低くできるということです。天然乾燥の場合はせいぜい20%が限界ですが、この乾燥庫を利用すると15%近くまで落とすことが可能です。目標含水率20%ならば天然乾燥の1/3の期間で乾燥が可能、さらに1ヶ月いれると15%近くまで落ちます。
ただし乾燥庫内はドライな空気で満たされているため、前処理をしないで木材を入れると表面に割れが生じます。そのためこの乾燥庫では「ドライングセット」と呼ばれる前処理を行った材を搬入しています。
「ドライングセット」材を活木処に搬入すると、柱材ならば平均1ヶ月、梁材ならば2ヶ月程度で含水率を20%まで落とすことが可能です。
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